『六月猫が 曲がった方へ曲らう』
『あっ、お客様、そ、それは勿体ないですよ、
いえね、アタクシは欲得で
申し上げてんじゃございません・・・デス
そりゃ開店準備に思いのほか費えが
かかった事でしょう・・・・
でもぉ〜
その予算のしわ寄せを
看板の大きさに持って来るなんざぁ
せっかくの集客の門戸を
閉じてしまうようなものですよ、
ここは、ひとつ「清水の舞台」から
飛び降りる気持ちで、
ね、精一杯、大きな看板にしま・・・・
世の中で看板くらいなもんですよ
大きすぎることがないっていうのは
えっ、お前様の声と態度が大きい?
あはぁ、肝っ玉は至って小せぇ男なんです・・・けど、
えっ、おまえ様の話はいいから、その先ですかぁ
は、はい、何度も申し上げてるように
決してアタクシの私利私欲で・・・・
えっ、おまえ様は、さっきから、
どうも腹の中で銭勘定してるように・・・思える?
(なんで心の中が透けて見える・・・・まさかぁ
今月の売り上げの命運が、この看板に
懸かってるなんぞ、口が裂けたって・・・・)
へぇ、ち、小さい看板で・・・・いい
左様で・・・・・・・うぅぅぅぅ
あれだねぇ、やっぱり、絵に描いた餅は、
なかなか食べれはしないもんでゲスねぇ。』
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