『看板屋の夢』
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え〜看板屋という商いを長〜くやってきました。
最初は「看板屋さん」になろうなんてコト
爪の先ほども考えいなかった、
・・・・で浮草のように流れ流れて
気が付けば、よ、四十年になろうかと言うほど
呆れかえるくらい、年月を重ねて・・・・いました、
ワタクシ
いつも、いつも、若手、新人、青二才の席に座っておりました、
今、「若い」 という言葉が使えないほど、外見も内面も
ヨレヨレに草臥れた、おそらく、この先も完成されない
そんな、所謂「大人」
厳しく言うなら「老境」の入り口にさしかかりました、
何にもしなくても歳だけはとってしまう
生きとして生けるものの宿命とはいえ
個々個人にとっては
容赦の無い現実
でも、しかし、けれども
歌舞伎の世界、六十、七十、洟垂れ小僧
ワタクシもまた、
まだまだ、幼い未完成な看板屋
最近つくづく
その人にないものは出てこない・・・を実感
たくさん、いっぱい、溢れるほどの心の引きだしを
どう、皆様にお見せしてよいやら・・・・・
あの〜
ないものを、いかにも、いかにもは・・・・・滑稽なり
ないか、あるか、
乞う、温かくて、優しい眼差し、
慈愛の精神で、お付き合いくださいませ。
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