『夏は来ぬ』
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少しばかり以前
「看板のことで来てください」
辿りついたら、もうちょっとで岡山県
・・・・・んで
質問攻めに
答えて、答えて
一円にもならないこと承知のうえ
喋って喋って
その後、お客様からは音沙汰なし
失敬とか無礼とか頭ン中駆け巡るが
行ったも自分
喋り倒したのもワタクシ
♪♪-誰のせいでも、ありゃしない、みんな俺らが悪いのさ-♪♪
でも、高速代、費やした時間給(時給三両)
返せ、戻せ〜・・・・・・・自分に言いな
こんなこと
日常茶飯事
だから、儲けとか、黒字とか利益隠しとか無縁なり
赤字、運転資金を自動車から自転車操業に切り換える
体力勝負の看板屋
自慢の頭脳の出番なし
ついでに、頭脳の中も妖しいものだらけ
でもね人間、嘆きばかりではないぞ、
人生、捨てる神あらば拾う紙(段ボール?)あり
前述の真逆もあるダス
「看板屋さん来てください」
隣町で、お好きなように デザインして
予算は言い値(イイネ、いいね)
あっ、領収書、今、持ってるぅ〜
ない?それじゃ名刺のウラにでも、受け取り書いてよ
今、半分払っとくからぁ〜
(こ、これで、ペダル踏む足も休めて・・・・)
お客様は妙齢の目の横に小さなほくろがあって・・・・
「銀ちゃん、銀ちゃんったらぁ起きなさいよ、まだ日は高いよォ
そんな所でうたた寝したら、風邪ひいちゃうよ」
「あぁ、と、富次姐さん」
「ほくろって寝言、言ってたけど何だい」
(夢かぁ・・・この世なんか夢みたいなもんだよナ)
「ねぇ、ほくろって?・・・・・」
「もう、勘弁して・・・・・クダサイませ」
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「蛍火を 夢の続きに 持ち帰る」 大橋麻沙子
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