『看板屋、この素敵で憎らしい商売』
:::::::::::::
「ふ〜ん、そんなもんですかねぇ〜」
「何が?」
「何がって、人の心と浮き世の動向ですよっ」
::::::::::
今日、暫く注文もなく、もしかしたら、見放されたかな?
いつも決まって仕事くれる会社に
ダメ元で電話した、もちろん幸運帽子は冠って
豈図らんや、注文が来た、
えぇ〜?今、仕事に追っかけられてんでぇ
どうするんよぉ〜
あのね、仕事って、ある時に全精力傾けてやんないと
ピタって、音信なしになったら
全精力傾けて、掃除、資金繰りせなあかんから
文句、言わんと,やる時、やらんと
いつ仕事の神様が、あっちゃの方へ行ってしまうかもわからへんよ、
で、仕事の上に仕事の重ね塗り
期日までにでけんのかな
期日なんてぇもんはなぁ、自分が勝手に決めてるだけや
月月火水木金金でやってみな
ほら、お金にお金のおんぶだよ
旦那ァ、言っときますけど
お金だけは、徒党は組まない主義らしいですよ、
ふ〜ん、悪い扱いはしないのにね
今度、お金さんに言っといておくれな
いつでも、不意にでも、ノックなんていらないから
遠慮なんてしないで寄っておくれって
あ〜言っとくけど、バァさんのおカネさんじゃないからぁ。
☆
「三月の 甘納豆の うふふふふ」 坪内 稔典
☆