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「銀ちゃん」
「あっ、富次姐さん 、暫くでした」
「ちょいと心配で実家の方へ帰ってたんだよ」
「・・・・で、どうでした東京は」
「どうもこうもないよ、テレビの通りさ、毎日何度も揺れてさぁ
大阪は、まだまだいいよ、停電の心配だってないしさ、
東日本の分まで、う〜んと働いておくれよ」
「それが、大阪も、もうひとつパっとしなくて、なんだか元々悪かった景気が
もうひとつ、悪くなったような・・・・・」
「そ、それそれ、そういう気持がダメなんだよ、
元気出して、元気じゃないところに仕事は来ないよ」
「はぁ〜」
「それから笑顔、明るく明るく、笑顔や明るさは、タダなんだから
心がけひとつじゃないかぁ」
「へぇ」
「それからさ、もう、がんばれ、がんばれは控えてさぁ
人の心に寄り添って、自分に何かできないだろか、
何かしてあげたい・・・そう念ずるだけでも通じるから」
「はい、何かできることから、やろうと・・・上野はどうでしたぁ」
「やっぱり、お花見は、もう、ひとつだったね」
「そうですか」
「被災してない人は普通に暮らして、普通にお金つかってさぁ
日本が沈まないよう、み〜んなで盛り上げていかなくちゃ
それが復興につながってゆくんだよ」
「はい、そうですね」
「お酒もさぁ、控えたりしないで、東北の銘酒、たくさんあるだろ
南部美人とか、東北のお酒、吞んでおくれよ」
「はい、吞みます」
「なんだ、そこだけ、やけに返事がいいねぇ」
「・・・・・・・・・」
「これから、これからが東日本も、日本全体も正念場なんだから
銀ちゃん、おまえさんも、しっかりしなさいよ」
「う”う”う”・・・・・・」
(なんでぇ、言いたいことだけ言って、さっさと行っちゃったよォ
相変わらずだねぇ、でも、今日ばかりは、いちいち、ごもっともだな)
俺らにも、できること、できることっと
とりあえずは念じることにしよう、
「早く東北の地に、本当の春が訪れますように・・・・・」
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「八重桜 ひとひらに散る 八重に散る」 山田 弘子
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