『たまには真面目に看板の話しよ』
え〜いつもは、フザけてばかりの、この看板屋
たまには、前向きのよそ行きの看板の話
今日こそ脱線することのないよう
襟を正して、真面目にと、こう本人が言っております、
「あ〜銀ちゃん、よく来なすった、まぁ、こっちにおいでよ
そんなに離れちゃ、話も見えないだろ
なぁ〜に、今日は、ひとつ、お前様に頼みたいことがあるんだよ」
「頼みたいことって?」
「まぁ年寄りを、急かせるものじゃ、ありませんよ、
どうだい、ひとつ冷だけど、ぐぐっと一杯・・・・」
「ご隠居さん、いただきたいところですが 、まだ日も高いし
それに仕事中ですから・・・・・」
「その仕事の依頼主の、あたしが、酌をしようて、そう言ってんのに
まさか、お前さん、あたしの酒が吞めねぇ、なんて、そんな野暮なこと
言う・・・・・わけ、ないでしょうね」
「もう、じゃ一杯だけですよ・・・・仕方ねぇなぁ」
「ほら、ぐいぃ〜と・・・・いい吞みっぷりだねぇ〜
男も惚れる、吞みっぷりだよ、もう一杯・・・・」
「だ、だめです・・・よォ・・・・あっしは、ねぇ、これから・・・・」
「ほら、駆けつけ三杯って、言うじゃないかぁ、じゃあと、二杯だけ・・・・」
「もう、だめ・・・って、言ってんのに・・・・・に、二杯だけ・・・・ですよォ」
「いい吞みっぷりだねぇ〜男の中の男だねぇ〜」
「そ、そんなこと・・・・言って・・・・またぁ〜」
「ほら、もう一杯・・・・・」
「だ、か、ら、もう・・・・う”〜、あ、あと一杯・・・・だけ」
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・・・・てんで 、すっかり酔っぱらっちゃた銀次郎
「あ”〜、ご、ご隠居、か、看板、、もうタダでやりますデス・・・た、ただでぇ〜」
「あれ、そうかい、いつも、すまないねぇ〜」
「えっ、・・・・・いつも?」
あ〜ぁ、どこが、たまには真面目な看板の話なもんか、
結局、うまく乗せられてサァ〜
馬鹿だねぇ〜まったく。
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