『貧しい雨』
『銀ちゃんさぁ、仮に、仮にだよ」
『あの〜俺ら、仮とか、もしもって話には乗らねぇことにしてんだ』
『まぁ、そんな堅いこと言わねぇでさ、万が一さぁ』
『だから、万が一にも・・・・』
『んじゃ百が一、それでもダメなら十が一・・・』
『もう、じゃ話してみなよ」
『もしも、もしもだよ、看板屋稼業を選んでなかったら、何、やってたぁ?』
『う〜ん、薮から棒に、また難しい質問だなぁ』
『ほら、看板屋さんが嫌になったら、何屋さんに職替えするかって話さ』
『そうだねぇ〜さしずめ占い師なんか・・・・・』
『へぇ〜ご自分の行く末もわかんない、お人がぁ〜』
『あれぇ、そ、そんなこと、はっきり言っていいの?』
『じゃ、俺らのこと占ってみてよ』
『当たるも八卦、当たらぬのは宝くじィ〜、はい、こんなん、出ましたぁ』
『ど、どんな?』
『遠くの方に何やら揺れているものが、微かに見えています』
『ふん、ふん』
『それはきっと、あなたの心が揺れている証拠でしょう』
『ん?』
『だから、あなたには看板は売らないしィ』
『何だって?』
『だから、ウラナイィ〜しぃ』
『うらない・・しぃ、あぁ、くっだらねぇ、時間の無駄、無駄、はい、解散、解散』
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